ミヤさんの日記

日々思ったことを忘れないように書いておきます。好きな音楽の話が多いです。独り言の日記、つらつらと。

「こんなこと」をあなたに言ったら…

「こんなこと」をあなたに言ったら、あなたはどんな風になるだろう。
 
かわいいと言って抱き締めるだろうか。
困った顔で目を逸らすだろうか。
苦笑いで頭を撫でるだろうか。
聞こえないフリでやり過ごすだろうか。
 
 
恋をしていると、時々私は、どうしようもなくただの女なのだと自覚するときがある。
それは、世界でただ一人の「私」ではなく
世界にありふれているただの「女」の一人なのだと。
彼女たちと変わらない。
バカで、みっともなくて、
どうしようもなく可愛い。
言ってしまいたい言葉も、したいことも何一つ変わらない。
 
それは私にとって希望に近い。
そして絶望に等しい。
 
ただ1つ、彼女たちと違うのは私が勘違いできないということ。
世界の中心が自分だと勘違いできないということ。
自分が誰かの特別だと勘違いできないということ。
 
人間として、女としての遺伝子配列を持つただの物質の塊だと思ってしまう。
私と同じモノは、この世にごまんとある。
 
なぜ、私は他の彼女たちのように勘違いすることができないのだろう。
思うことも言いたいことも彼女たちと一緒なのに。
勘違いできないから、言葉にできない。
永遠に満たされない。
何者にもなれない。
 
何を言われても、誰かの世界の特別だと思えない。
代用可能な物質の塊。
 
一方で私は、勘違いしたくないと強く思ってしまっている。
勘違いをすれば幸せになれることも、満たされることも知っている。
ただの女として、彼女たちとなにも変わらないのだ。本当になにも。
 
それなのに、勘違いの中にある幸せが、本物だと思えない。
そんなもの捨てた方がマシだとすら思う。
馬鹿馬鹿しいと思う。
だから永遠に幸せなどやってこない。
 
純粋に幸せを感じることができる時もある。
一瞬でも。
でも、私だけなのだ。
私だけが勝手に幸せなだけなのだ。
だからその一瞬は文字通り一瞬で、まばたきをした途端に空っぽになる。
夢を見ているようだ。幸せな夢を。
 
私の頭は永遠に夢を見せてくれるようにはできていない。
途切れ途切れの、夢を、幸せを、麻酔のように見せてくる。
だから永遠に満たされない。
 
 
 
私は、言いたいと思っている「こんなこと」を永遠に口に出せない。
普通のことなのに。
「こんなこと」にどんなに素敵な言葉を返されても、私はきっと疑ってしまう。
いや、絶対に。
勘違いできない。
だから、言わない。
何を言われれば満たされるのかは私にもわからない。
 
きっと私の性質なのだから、何を言われても永遠に満たされない。
すべてが偽物の言葉、もしくは使い回しの言葉に聞こえるのだ。
もしかしたら、私のために死ぬと言われれば、満たされるのかもしれない。
でも一緒には死んでらやない。
そういう残酷な自分に気が付いてしまうと、彼女たちと違うと思えて少し嬉しくなる。
 
私もただの女として、かわいいだとか、好きだとか、愛してるだとか、素敵だとか、言われたいと思う。嬉しいと思う。
ただの女として言いたい、「こんなこと」もたくさんある。
でも、言ったところで満たされないことも知っている。
 
私が特別だと思ってきた彼らは、今でも私の中でやっぱり特別だ。
彼らの中で私は特別ではないと分かっていても。
私のこんな腐った性質は、早く土に還ってしまえばいいのに。
 
ただの女と永遠に満たされない私の間で今日もどこかへ行こうとしている。
 
(この文はフィクションであり、実在する人物や団体とは何の関係もありません。)